kyoyamayukoのブログ

私の墓にはルピナスを飾っておくれ

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

自由か、さもなくば幸福か?ーーー自由と幸福は対立するのか、ともに成り立つのか

blogのタイトルは大屋雄裕の『自由か、さもなくば幸福か?ーーー二十一世紀の<あり得べき社会>を問う』から引用したものです。 前のblogでは『<普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか』について読書ノートをまとめたのですが、この本を読…

『<普遍性>をつくる哲学  「幸福」と「自由」をいかに守るか』の読書ノート(3)ーーー現象学的言語ゲーム・普遍性を創出する

こちらの続きです。ここから本格的に著者のクリエイティブな提案がはじまります。まとめていきます。 kyoyamayuko.hatenablog.com 第四章 現象学的言語ゲームーーー普遍性を創出する 著者はこのように提案する。 現象学は人間と社会の本質を探求する。 この…

『<普遍性>をつくる哲学  「幸福」と「自由」をいかに守るか』の読書ノート(2)ーーー現象学の原理・普遍認識の条件

読書ノートの続きです。岩内章太郎さんの本の骨子を勉強するためにまとめていきます。 kyoyamayuko.hatenablog.com 第三章 現象学の原理ーーー普遍認識の条件 135ー195 前回のblogでは、「多様ではあるが、相対的ではない世界」という俊逸な問いを立てたとこ…

『<普遍性>をつくる哲学  「幸福」と「自由」をいかに守るか』の読書ノート(1)ーーー実在論と構築主義の相克

岩内章太郎さんの新刊を読んで、自分のなかでもやもやしていてよくわからなかった概念がクリアになりました。スッキリして視野が広がった感じがします。 読書ノート的にまとめていきたいと思います。 第1章 新しい実在論の登場ーーー普遍性は実在する 17ー75 …

日本版「SNS 少女たちの10日間」ーーチェコでも日本でも同じことをする男たちーー

未成年のふりしてオンラインチャットしたらどうなるか、というのがこちらのチェコのドキュメンタリー映画でした。 kyoyamayuko.hatenablog.com この映画を真似て日本でも実験した団体がある。大津市の団体だ。Skypeで実験したところ「開始数秒から返信が相次…

【本人の弁追加】フィールズ・グッド・マンと小山田圭吾ーーーネットミームはモンスターを創発するーーー

出典: ヘイト目的で使われ続けた「カエルのペペ」、作者が奪還を断念して公式で葬式を行う - GIGAZINE ここでは時事ネタは避けたいと思いつつ、小山田圭吾さんについていろいろ考えさせられることがありました。最近、kobeniさんの小山田圭吾の「イジメ発言…

【まとめ】なぜ日本は戦争を選択したのかーーー松元崇の財政・金融史

なぜ日本は戦争を選択したのか。 安倍70年談話ではこのようにまとめられている。 世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な…

『妊娠・出産をめぐるスピチュアリティ』の感想

子宮系、体内記憶、自然なお産。。。妊娠、出産した女性にとって、雑誌やネットで見かける言葉たち。「自然なお産」なんてあまりにナチュラルな言葉過ぎて、スピチュリアリティと関係があるなんて自覚も無く、それらの言葉に触れている。 これらの言葉はどこ…

『中国共産党、その百年』の感想

既に話題の本ですが、石川禎浩さんの新著は大変面白かったです。読み物としても、小難しい論文調ではなく、語り口調が上手く引き込まれていきます。最後まで読ませてくれる本でした。 これまでblogにも書いてきましたが、私の場合、中帰連、日中戦争に関心を…

【完】なぜ日本は戦争を選択したのか(18)「持たざる」国への道②華北分離工作、円元パー政策で外貨流出、日米通商条約の破棄ーーー松元崇の財政分析から学ぶ

シリーズ(17)では、満州国の開発が本国の犠牲の上に成り立っていたことをまとめた。満州国、華北支配によって日本は国内の資本、労働力、そして正貨=外貨が流出して「持たざる」国へ自ら陥っていくのである。 今回は、円元パー政策によっていかに中国へ正…

なぜ日本は戦争を選択したのか(17)国内経済を犠牲にした満州開発ーーー松元崇の財政分析から学ぶ

シリーズ(16)では、軍縮を支持していた世論が、盧構橋事件と連動して起きた通州事件で日本人居留民が虐殺されると、一気に軍部支持に傾いた。あっという間に軍拡のための予算がほとんど審議されず通ってしまった。明治維新からニニ六事件で高橋是清が惨殺…

なぜ日本は戦争を選択したのか(16)軍拡の時代:盧構橋事件、通州事件、第二次上海事変ーーー松元崇の財政分析から学ぶ

このシリーズでは明治維新からニニ六事件まで、日本の近代史に沿いながら財政問題の流れを追ってきた。教科書的には明治政府は「富国強兵」、「殖産産業」のイメージがあり、強くて金もある「大きな政府」と捉えている人が大半だろう。私も松元崇さんの本を…

なぜ日本は戦争を選択したのか(15)軍事費抑制とニニ六事件の高橋是清暗殺で「財政規律」崩壊ーーー松元崇の財政分析から学ぶ

前回では金解禁不況から回復させて健全財政政策を実施した。このシリーズをお読みになっている方はワンパタなので予測できているると思うが、明治憲法下での健全財政とは軍事費抑制なのだ。いつものパターンのはずだった。しかし、ニ・ニ六事件で高橋是清は…

【五・一五事件大幅修正】なぜ日本は戦争を選択したのか(14)金解禁不況からの回復と高橋是清の「健全財政」ーーー松元崇の財政分析から学ぶ

シリーズ(10)(11)(12)では国際グローバルスタンダードであった金本位制が崩壊し、グローバル経済が維持できなくなりブロック経済化していった状況を説明した。当時の常識であった金本位制を維持するの政策によって各国はデフレと金利上昇に見舞われ、…