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【まとめ】なぜ日本は戦争を選択したのかーーー松元崇の財政・金融史

 

なぜ日本は戦争を選択したのか。

 

安倍70年談話ではこのようにまとめられている。

世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。

出典

(全文)首相が「戦後70年談話」で語ったこと | 外交・国際政治 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

 安倍70談話は批判されることも多いが、「世界恐慌ブロック経済化して景気悪化した日本は、中国進出(侵略)によって活路を見出だそうとしたが、それは世界的に孤立化する選択だった」という歴史観は教科書的なストーリーでもあるだろう。安倍談話で軽く触れられている「国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった」については、軍国主義化して止められなかったということを示唆してる。

 が、実際には、政党政治は財政負担を軽くするするために緊縮財政を求めた。緊縮財政とは、ありていに言えば軍縮であった。軍の財政負担が重いため、緊縮財政は軍縮とセットだった。満州事変後ですら「軍縮」派が多数派だったのだ。それなのになぜ軍部支持が増えて、軍事予算の暴走化をとめられなかったのか。

 松元崇は、明治維新期から財政と軍事費の関係に焦点をあて、財政規律を守り軍事費を削減した歴史の繰り返しを丁寧に描く。西南戦争日清戦争日露戦争は、膨らんだ軍部=軍事費と莫大な戦費の借金を圧縮する苦闘の歴史であった。「軍縮」は第一次世界大戦前から日本の課題であったのだ。国際的なワシントン、ロンドン軍縮会議の前から、日本は国力に見合った軍事費のため常に軍縮を余儀なくされていた。

 しかし、ニ・ニ六事件で高橋是清が惨殺されると「財政規律」が崩壊する。国防のために軍事費予算は膨らみつづけ、財政を悪化させ、経済を疲弊させた。世界がブロック経済に突入した時代、実は日本はそこまで景気が悪くなかったのだ。少なくとも都市部は。地方は極めて困窮したが、1936年には「東京ラプソディー」が戦前最大にヒットし、豊かさを享受していた。。。戦争「しない」という選択肢は決して夢想ではなく、現実味のある選択だったろう。でも、それは都市部の論理であって地方は違った。超格差社会が戦争を選択させた面は否めない。

 満州国の開発を日本単独ではなく他国(米国、英国)にも開放すれば戦争という選択肢は遠ざかっただろう。しかし、対ソ戦を意識した軍部は単独開発にこだわった。その結果、たいして資源のない満州国を一から開発することになり、日本から大量の資本を投入し、本国は疲弊化していった。また、日本が支配する華北地域の「円元パー」政策によって貴重な外貨が失われていった。日中戦争がはじまり、若い労働力は軍隊に奪われた。以上によって資本、外貨、労働力を失い、米国との戦争を選択するしかなくなるのである。そう、日本は「自ら」の政策の失敗で持たざる国になったのである。決してブロック経済のせいではない。

 

 日本はいかに財政規律を確立し、財政規律を維持するために格闘したのか。松元崇の本から学びながら、シリーズ18回にまとめました。この歴史を知らずに戦争を語ることはできない。国力に見合った「財政規律」を忘れるとき、軍部は拡大し暴走する。

 

恐慌に立ち向かった男 高橋是清 (中公文庫)

持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻 (中公文庫)

 

 

 

 

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